決算書分析とは?自社の課題を見つける4ステップと改善への活かし方

決算書分析とは?自社の課題を見つける4ステップと改善への活かし方

「決算書を渡されても、どこを見ればいいのかわからない」

「毎年受け取るだけで、経営に活かせていない」

そんな悩みはありませんか。

決算書は、税務申告や金融機関への提出のためだけに使うものではありません。

数字の変化を読み解くことで、利益の出方や資金繰りの状態を把握し、経営に役立てることができます。 

一方で、分析を後回しにすると、小さな異変を見逃し、経営状況が悪化してから問題に気づくことも少なくありません。

そこで本記事では、次の内容をわかりやすく解説します。

  • 決算書分析とは
  • 決算書分析のやり方4ステップ
  • 決算書分析でよく見つかる課題と改善策
  • 分析結果を経営改善につなげる3つのポイント

手元の決算書を見ながら「利益が減った原因はこれだ」「この改善策を試してみよう」と、次に取るべき行動を判断できるようになりますので、最後までご覧ください。

決算書分析とは?経営者が自ら分析すべき理由

決算報告書のイメージ

決算書分析の目的は、指標をすべて計算することではありません。数字の変化から課題を見つけ、「次に何をすべきか」を判断することです。

税理士は決算書を正しく作成する専門家ですが、その数字をもとに経営判断をするのは経営者の役割です。

在庫が増えた理由や販管費が膨らんだ背景など、数字の裏側を把握しているのは現場を知る経営者だからです。

決算書分析が必要になる場面

決算書分析は、次のような場面で役立ちます。

場面メリット
決算後の振り返り来期に優先して改善すべき課題がわかる
銀行融資・借換え前強み・弱みを説明しやすくなり、融資交渉を進めやすくなる
月次レビュー問題を早期に発見し、迅速に対策できる

特に融資の場面において、銀行は「貸したお金を返済できる会社か」という視点で決算書を確認するため、自社の課題を把握していれば質問される前に説明できます。

決算書を分析しないリスクは、実際の倒産データにも表れています。

  • 2025年に倒産した企業の71.1%は、直前期ですでに債務超過
  • 最終赤字だった企業は64.3%(倒産しなかった企業は26.3%)

※出典:東京商工リサーチ

決算後の振り返りや融資前の確認、月次レビューで継続的に決算書を分析し、異変を早い段階で把握することが経営悪化を防ぐ第一歩です。

決算書分析に使う3つの書類|BS・PL・CF

決算書分析では、主に次の3つの書類を使います。

書類確認する内容イメージ
損益計算書(PL)1年間の利益通信簿
貸借対照表(BS)財務状況健康診断表
キャッシュフロー計算書(CF)現金の流れ家計簿
決算書分析に使う3つの書類

例えば、損益計算書だけを見ると黒字でも、貸借対照表を見ると売掛金や在庫が増え、現金が減っているケースがあります。

なお、キャッシュフロー計算書は中小企業では作成していないことも多い書類です。手元にない場合の進め方は、次章で解説します。

貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書それぞれの基本的な読み方については、以下の記事で詳しく解説しています。

決算書分析の4視点|収益性・安全性・効率性・成長性

決算書分析では、会社の状態を様々な角度から確認します。

そのため、決算書は主に次の4つの視点から分析します。

分析の視点内容代表的な経営指標
収益性利益を十分に出せているか営業利益率、売上総利益率、ROA(総資産利益率)
安全性借入金が多すぎず、倒産しにくい財務体質か自己資本比率、流動比率、当座比率
効率性持っている資産を無駄なく活用できているか総資本回転率、売上債権回転率、棚卸資産回転率
成長性売上や利益が前年より伸びているか売上高増加率、営業利益増加率、経常利益増加率

それぞれの視点を判断するために使う数字が経営指標です。

例えば、利益を十分に出せているかは営業利益率、財務の安定性は自己資本比率といった経営指標で判断します。

「どの経営指標を見ればいい?」という方は、まずこちらで代表的な指標を押さえておきましょう。

決算書分析のやり方4ステップ

決算書分析は、「過去の自社」と「同業他社」の2つと比べながら課題を見つけていきます。

分析の流れは、次の4ステップです。

  • ステップ1. 決算書を3期分そろえる
  • ステップ2. 増減が不自然な項目を探す
  • ステップ3. 業種平均と比べて自社の位置を確認する
  • ステップ4. 原因を絞り込んで改善策に落とし込む
決算書分析のやり方4ステップ

この4ステップを順番に進めれば、決算書の数字から自社の課題を見つけ、次に何をすべきか判断できるようになります。

ステップ1. 決算書を3期分並べて推移を確認する

最初のステップは、決算書をそろえて推移を確認することです。

1期分だけでは、その数字が良いのか悪いのか判断できません。少なくとも3期分を比較することで、「売上は伸びている」「利益率は下がっている」といった変化が見えてきます。

すべての項目を確認する必要はありません。まずは、次の重要項目を確認しましょう。

書類重要項目
損益計算書(PL)売上高/売上総利益(製造業・卸売業・小売業は特に重要)/営業利益(その他の業種)
貸借対照表(BS)売掛金/在庫/現預金/借入金
キャッシュフロー計算書(CF)営業CF(本業で現金を稼げているか)/財務CF(借入が増えているか減っているか)
決算書を3期分並べて推移を確認する

キャッシュフロー計算書は、中小企業では作成していないケースも少なくありません。

その場合は、次の方法でおおよその資金の動きを把握できます。

  • 貸借対照表の「現金預金」を3期分比較する
  • 「営業利益+減価償却費」で手元に残る現金の目安を確認する

必要に応じて、会計ソフトや顧問税理士に依頼してキャッシュフロー計算書を作成することも可能です。

まずは3期分の数字を並べて推移を見ることで、決算書は単なる数字の一覧ではなく、会社の変化を読み取る資料になります。

ステップ2. 増減が不自然な項目を探す

続いて、揃えた決算書を用いて「過去の自社」との比較を行います。

例えば、次のような変化は不自然であり、課題のあるサインです。

  • 売上は増えているのに営業利益が減っている
  • 利益は出ているのに現預金が減っている

このように「例年と比べて違和感のある項目」から異変を見つけられれば、この後のステップで原因を絞り込みやすくなります。

ステップ3. 業種平均と比べて自社の位置を確認する

過去の自社と比べて気になる項目を洗い出したら、「同業他社」と比較します。

3期比較では自社の変化はわかりますが、その数字が業界の中で高いのか低いのかまでは判断できません。

そこで、業種平均と比較して自社の立ち位置を確認します。

例えば、営業利益率が8%から5%に下がっていたとしても、同業平均が4%なら十分高い水準です。一方、同業平均が8%なら早急に改善が必要だと判断できます。

業種平均との比較

比較対象には、次のような公的データを活用しましょう。

比較するときは、全産業平均ではなく、同じ業種の平均と比べましょう。

 2つを組み合わせることで、本当に改善すべき課題を見極められます。

ステップ4. 原因を絞り込んで改善策に落とし込む

最後は、見つかった課題の原因を整理し、優先して取り組む改善策を決めます。

課題が見つかると、あれもこれも改善したくなります。しかし、複数の改善策を同時に進めると、どれも中途半端になりがちです。

改善策を決めたら、「広告費を月10万円削減する」「売掛金の回収期間を60日から45日に短縮する」のように、具体的な目標へ落とし込みます。

  • 数値:どれだけ改善するか
  • 期限:いつまでに達成するか
  • 担当:誰が実行するか

数値目標を設定すれば、翌月の試算表で改善状況を確認できます。これで、ひととおりの決算書分析は完了です。

「毎回手作業で分析するのは負担…」「もっと簡単に決算書分析をしたい」という方には、経営分析ツールがおすすめです。

SmartKAなら、決算情報を入力することで過去の推移や同業比較、課題や改善ポイントまで自動で分析でき、すぐに改善へ向けた行動へ移れます。

決算書分析でよく見つかる課題と改善策

決算書分析でよく見つかる課題と改善策

決算書分析を行う際は、よく見つかる次の4つの課題と、その改善の考え方を押さえておきましょう。

  • よくある課題1. 利益率・利益額が悪化している
  • よくある課題2. 現金・預金が減っている
  • よくある課題3. 借入金の返済負担が重い
  • よくある課題4. 売掛金・在庫が増えている

どれも中小企業でよく見られる課題ですが、決算書に異変が表れた段階なら、まだ改善できる可能性があります。 

数字の変化から原因を特定し、早めに対策することが重要です。

よくある課題1. 利益率・利益額が悪化している

売上が増えているのに利益が減っている場合は、利益を生みにくい経営構造になっている可能性があります。

考えられる原因改善策の例
原材料費や仕入価格が上昇している価格改定、仕入先の見直し
値引き販売が増えている値引き基準や販売方法の見直し
人件費や広告費など販管費が増えている固定費の削減、広告費の最適化

利益率が低下している原因は1つとは限りません。どの段階で利益が減っているのかを切り分けることで、取るべき改善策が明確になります。

営業利益率の改善方法や、利益を確保するための売上目標(損益分岐点)については、以下の記事を参考にしてください。

よくある課題2. 現金・預金が減っている

利益が出ていても、現預金が減っている場合は資金繰りが悪化している可能性があります。決算書では、現金がどこへ移動したかを確認しましょう。

現金・預金が減っている要因

例えば、売掛金の回収が遅れているなら督促や回収条件の見直し、在庫が増えているなら発注量や滞留在庫の見直しといった対策が立てられます。

利益と現金は別物です。黒字でも現金が不足すれば、支払いができなくなる恐れがあるため、現預金の減少は見逃さないことが大切です。

よくある課題3. 借入金の返済負担が重い

借入そのものは悪いことではありませんが、返済額が会社の稼ぐ力を上回ると返済のために新たな借入を繰り返す状態となり、資金繰りが悪化します。

考えられる原因改善策の例
年間返済額が返済原資(営業利益+減価償却費)を上回っている借換え・返済条件の見直し
短期借入で長期の設備投資をしている借入期間と資金使途を見直す
複数の借入の返済時期が重なっている返済スケジュールを見直す

返済負担が重い場合は、資金繰り表を作成して返済計画を見直し、資金に余裕があるうちに金融機関へ相談しましょう。

借入金の適正額や財務体質の改善方法については、以下の記事も参考にしてください。

よくある課題4. 売掛金・在庫が増えている

売上の伸び以上に売掛金・在庫が増えている場合は、資金繰りが悪化する可能性があります。

売掛金の改善策

  • 回収が遅れている取引先を確認する
  • 金額の大きい取引先から回収条件を見直す
  • 督促や与信管理を徹底する

在庫の改善策

  • 発注量を見直す
  • 滞留在庫・不良在庫を減らす
  • 長期間動いていない在庫から処分する

すべてを一度に改善する必要はありません。売掛金は金額の大きい取引先、在庫は長期間動いていないものなど、影響の大きいものから優先的に対応しましょう。

売掛金の回収が1か月早まるだけで、売上を増やさずに手元の現金を増やせます。

決算書分析を経営改善につなげる3つのポイント

決算書分析を経営改善につなげる3つのポイント

決算書分析は、一度だけでは経営改善につながりません。定期的に行い、効果検証を続けることが重要です。

分析結果を経営改善に活かすために、次の3つのポイントを意識して取り組みましょう。

  • ポイント1. 月次で数字を確認する
  • ポイント2. 改善効果を継続して検証する
  • ポイント3. 分析を効率化する仕組みを整える

ポイント1. 月次で数字を確認する

決算後の振り返りとして分析を行うだけでなく、月次で数字を確認しましょう。

決算書は決算日から約2か月後に完成するため、問題に気づく頃には数か月が経過していることもあります。

一方、月次試算表なら次のようなことを毎月確認できます。

月次で確認できること目的
改善策の効果想定どおり成果が出ているか確認する
新たな課題次に優先して改善すべき課題を見つける

実際の企業例を紹介します。

株式会社田島軽金属(埼玉県羽生市・製造業・従業員82人)では、工場ごとの限界利益(売上から変動費を引いた利益)を毎日集計し、固定費を下回る日はその日のうちに対策を検討する仕組みを導入しました。

その結果、製造現場から価格や納期の改善提案が出るなど、従業員の行動にも変化が生まれました。(出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の採算可視化に関する取組事例集」)

ポイント2. 改善効果を継続して検証する

改善策を実施したら、効果を継続的に検証し、必要に応じて改善策を見直しましょう。

期待した効果が出ているかを確認し、改善しない場合は原因や改善策を見直します。改善が見られれば、その取り組みを継続しましょう。

例えば、次のように検証します。

改善策の例確認する数字改善しない場合に見直すこと
販管費の削減営業利益率原価や値引きにも原因がないか
在庫の発注量を減らす在庫残高売れ残りや発注基準に問題がないか
売掛金の回収条件を見直す売掛金残高督促方法や取引条件を見直す

改善策は実施して終わりではありません。効果を検証しながら軌道修正を繰り返すことで、本当の経営改善につながります。

ポイント3. 分析を効率化する仕組みを整える

決算書分析を継続するには、効率化する仕組みを整えることも重要です。

その結果、本来時間を使うべき経営判断や改善策の実行が遅れ、改善のタイミングを逃してしまいます。

決算書分析を効率化するには、分析手段の選定が重要です。

手段向いているケース注意点
Excel自社仕様で細かく管理したい転記や集計に時間がかかる
公的な無料ツールまず試してみたい継続管理には向かない
経営分析ツール月次で効率よく分析したい月額費用がかかる
分析を効率化する仕組み

Excelや公的な無料ツールでも分析はできますが、転記や入力の手間がかかるため、月次で継続するには負担が大きいかもしれません。

その点、経営分析ツールなら計算や比較を自動化できるため、最も効率よく決算書分析を続けられます。

例えばSmartKAなら、経営指標の計算だけでなく、過去推移・業界比較・AI評価を1つのレポートで確認可能です。複数の資料を見比べる手間がなくなり、改善策の検討に集中できます。

まとめ|決算書を分析して、自社の課題を確認しよう

決算書分析は、専門知識よりも正しい手順で継続することが重要です。本記事のポイントをまとめます。

  • 決算書分析とは、会社の課題を見つけて改善につなげること
  • 過去の自社と同業他社を比較して課題を見つける
  • 改善策は効果を検証しながら軌道修正する
  • 月次で分析を続けることで、小さな異変にも早く対応できる

まずは決算書を3期分用意し、売上・売上総利益・営業利益・現預金・借入金の5項目を並べてみましょう。それだけでも、自社の課題を見つけるきっかけになります。

決算書分析は、数字を根拠に経営判断し、改善につなげてこそ価値があります。

手作業での分析に限界を感じている方は、分析から改善ポイントの把握まで効率化できるAI経営分析ツール「SmartKA」を、ぜひ一度お試しください。

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