経営指標とは?中小企業がまず見るべき指標一覧・目安・活用方法を解説

経営指標とは?中小企業がまず見るべき指標一覧・目安・活用方法を解説

「決算書を見ても、どこを改善すればいいかわからない…」

「自社の経営状態が良いのか悪いのか、判断できない」

中小企業の経営者にとって、こうした悩みは珍しくありません。

そんなときに役立つのが、経営指標です。会社の課題を数字で見える化できるため、「何を改善すべきか」が明確になり、根拠を持って経営判断できるようになります。

一方で、感覚だけで経営判断を続けると、資金繰り悪化の見落としや融資審査での説明不足につながり、経営に不利な状況を招くおそれがあります。

とはいえ、経営指標をすべて覚える必要はありません。まず見るべき指標は限られています。

この記事では、経営指標の基本から、主要な経営指標一覧、中小企業がまず見るべき5つの重要指標と目安、経営への活かし方までをわかりやすく解説します。

「会社の数字を経営に活かしたい」「改善すべき課題を明確にしたい」と考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

経営指標とは?会社の状態が数字でわかる「経営の健康診断」

経営指標と健康診断の対比

経営指標とは、決算書の数字をもとに会社の経営状態を表したものです。

言うなれば、会社の健康診断。

健康診断で血圧や血糖値を測って体の状態を確認するように、経営指標を見れば会社の「稼ぐ力」や「安全性」がわかります。

経営状態が良いのか、それとも改善が必要なのかを、感覚ではなく数字をもとに客観的に判断できるのです。

中小企業が経営指標を押さえるべき理由

「うちは大きな会社では無いから必要ない」と考える方もいますが、実は、中小企業ほど経営指標を把握することが重要です。

なぜなら、資金や人材に余裕が少ないため、1つの経営判断の遅れが資金繰りの悪化や業績低下につながりやすいからです。

経営指標を活用すると、経営判断は次のように変わります。

経営指標を知らないと…経営指標を活用すると…
「まだ大丈夫だろう」と感覚で判断する数字をもとに課題を把握し、改善策を判断できる
問題に気づくのが遅れ、資金繰りが悪化しやすい異変を早期に発見し、手遅れになる前に対策できる
利益率や安全性の低下に気づけない業界平均と比較し、自社の強み・弱みを把握できる
融資面談で自社の状況を説明しにくい強みや課題を数字で説明し、融資相談にも活かせる

経営指標と「財務三表」の関係

経営指標は、決算書に含まれる「財務三表」の数字をもとに計算します。

財務三表とは、会社のお金の状況を3つの視点からまとめた書類です。毎年作成する決算書に含まれており、それぞれ役割が異なります。

  • 損益計算書(P/L):1年間でどれだけ利益を出したかを示す「成績表」
  • 貸借対照表(B/S):資産・負債・純資産の状況を示す「財産目録」
  • キャッシュフロー計算書(C/F):現金の増減を示す「お金の流れ」
財務三表と経営指標の関係

例えば、収益性指標である営業利益率は損益計算書から、安全性を確認する自己資本比率や流動比率は貸借対照表から計算します。

財務三表と経営指標の関係を理解すれば、決算書は「作るだけの書類」ではなく、経営判断に活かせる資料になります。

経営指標の4分類と主要指標一覧

主要な経営指標は、「収益性・安全性・生産性・成長性」の4つに分類できます。

利益が出ていても資金繰りが悪化していたり、売上が伸びていても利益率が低下していたりするケースもあるため、4つを組み合わせて会社の全体像を把握することが大切です。

各分類と主要指標一覧は次の通りです。

分類主要指標主にわかること
収益性売上高営業利益率・売上高経常利益率・ROE・ROA本業や資本をどれだけ効率よく利益につなげているか
安全性自己資本比率・流動比率・固定比率財務基盤が安定し、倒産しにくい状態か
生産性労働生産性・労働分配率人材をどれだけ効率よく活用できているか
成長性売上高伸び率・総資本回転率売上が伸び、資産を有効活用できているか

収益性の指標|本業でどれだけ稼げているか

収益性の指標

収益性の指標は、会社がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを示します。

売上が増えても利益が残らなければ、会社は成長できません。そのため、利益をどれだけ効率よく生み出せているかを収益性の指標で確認します。

指標 内容 計算式 目安
売上高営業利益率 本業だけで利益を出せているか。商品価格や原価、販管費に問題がないかを確認したいときに見る指標 営業利益 ÷ 売上高 ×100 中小企業(法人)全産業 約3.7%※
売上高経常利益率 会社全体で利益を残せているか。借入金の利息なども反映されるため、本業以外も含めた経営状況を把握できる 経常利益 ÷ 売上高 ×100 全産業 約4.4%※
ROE(自己資本利益率) 自己資本を効率よく活用できているか。利益が出ていても資本を遊ばせていないかを確認できる 当期純利益 ÷ 自己資本 ×100 業種による(8〜10%以上が1つの目安)
ROA(総資産利益率) 会社が保有する資産全体を無駄なく利益につなげているか。設備投資をしたあとや、資産が増えたときの経営効率を判断できる 当期純利益 ÷ 総資産 ×100 業種による(5%以上が1つの目安)
※出典:中小企業庁「中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」より算出

営業利益率と経常利益率は、まず同業平均と比較することで、自社の収益力を客観的に評価できます。

一方、ROEとROAは業種によって水準が大きく異なるため、一律の目安ではなく、自社の推移や同業他社との比較で判断することが重要です。

安全性の指標|会社がつぶれにくいか

安全性の指標

安全性の指標は、会社の財務基盤が安定し、支払いを続けられる状態かを示します。

利益が出ていても、借入金が多すぎたり手元資金が不足したりすると倒産する可能性があります。実際、利益が出ているにもかかわらず資金不足で倒産する「黒字倒産」も少なくありません。

そのため、利益だけを見るのではなく、会社がどれだけ経営リスクに耐えられるかを安全性の指標で確認することが大切です。

指標 内容 計算式 目安
自己資本比率 借入に頼りすぎず経営できているか。赤字が続いても耐えられる財務体質かを確認できる 自己資本 ÷ 総資産 ×100 中小企業(法人)全産業 約45%※
流動比率 1年以内に支払う借入金や買掛金を、手元の資産で支払えるか。資金ショートのリスクを確認できる 流動資産 ÷ 流動負債 ×100 一般に150%以上が1つの目安
固定比率 建物や設備への投資が過剰になっていないか。無理な設備投資で資金繰りを圧迫していないかを確認できる 固定資産 ÷ 自己資本 ×100 一般に100%以下が望ましい
※出典:中小企業庁「中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」より算出

自己資本比率は会社の体力、流動比率は目先の支払い能力、固定比率は設備投資のバランスを確認する指標です。

3つを組み合わせて見ることで、安全性をより正確に判断できます。

生産性の指標|少ない人数で効率よく稼げているか

生産性の指標

生産性の指標は、人材を増やした成果がきちんと利益につながっているかを示します。

人や時間、お金をかけるほど成果が出るとは限りません。そのため、従業員一人ひとりが十分な価値を生み出せているか、人件費とのバランスは適切かを生産性の指標で確認します。

指標 内容 計算式 目安
労働生産性 従業員一人あたりがどれだけ利益のもとになる価値を生み出しているか。人を増やした成果や業務改善の効果を確認できる 付加価値額 ÷ 従業員数 同業平均・自社推移と比較
労働分配率 生み出した利益を人件費に使いすぎていないか。利益と人件費のバランスを確認できる 人件費 ÷ 付加価値額 ×100 同業平均・自社推移と比較

労働生産性は「稼ぐ力」、労働分配率は「利益と人件費のバランス」を見る指標です。この2つを確認すれば、人材への投資が会社の成長につながっているかを判断できます。

成長性の指標|会社が伸びているか

成長性の指標

成長性の指標は、会社が継続的に成長できているかを示します。

売上や事業規模が順調に拡大しているかを確認するとともに、その成長を支える資産を有効活用できているかもあわせて確認することが大切です。

指標 内容 計算式 目安
売上高伸び率 前年と比べて売上がどれだけ増減したか。事業が順調に拡大しているかを確認できる (当期売上高-前期売上高)÷ 前期売上高 ×100 プラス維持が目安
総資本回転率 設備や在庫など会社の資産を有効活用して売上につなげられているか。資産を増やした成果が売上に表れているかを確認できる 売上高 ÷ 総資産 同業平均・自社推移と比較

売上高伸び率は会社の成長スピード、総資本回転率はその成長を効率よく実現できているかを確認する指標です。

売上だけを追いかけると、「増収減益」で利益が残らない経営に陥ることがあります。目指すべきは、売上と利益がともに伸びる「増収増益」です。

売上の伸びと資産の活用状況をあわせて確認し、利益につながる健全な成長を目指しましょう。

中小企業がまず見るべき経営指標ベスト5【業種別目安付き】

経営指標は数多くありますが、中小企業がすべてを確認する必要はありません。

経営への影響が大きい指標を優先して確認すれば、分析の人材や時間確保に難しい中小企業でも、会社の状態を効率よく把握できます。

まず見るべき指標ベスト5は、こちらです。

  • 売上高営業利益率:本業で利益を出せているか
  • 自己資本比率:財務基盤は安定しているか
  • 流動比率:目先の支払いに問題はないか
  • 簡易キャッシュフロー:借入を返済できるだけの現金を稼げているか
  • 売上高伸び率:会社は成長しているか
中小企業がまず見るべき経営指標ベスト5

重要なのは、同業他社や業界平均と比較し、自社の立ち位置を確認することです。例えば同じ営業利益率3%でも、業種によって「平均以上」の場合もあれば、「改善が必要」な場合もあります。

中小企業が見るべき経営指標1. 売上高営業利益率

売上が伸びても利益が残らなければ、設備投資や人材採用、借入金の返済に必要な資金を確保できません。

また、金融機関も融資審査で営業利益率を重視します。本業で安定して利益を出せている会社ほど、「継続して返済できる会社」と評価されやすいためです。

業種売上高営業利益率の目安
全産業3.7%
建設業4.9%
製造業4.0%
情報通信業5.4%
卸売業2.3%
小売業1.7%
不動産業・物品賃貸業8.6%
出典:中小企業庁「中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」より算出

営業利益率は業種によって目安が大きく異なります。

そのため、営業利益率は前年の自社との比較だけでなく、同業平均との比較も欠かせません。業界内で自社がどの位置にいるかを把握することで、改善の優先順位が見えてきます。

営業利益率の詳細や改善方法はこちらをぜひご覧ください。

中小企業が見るべき経営指標2. 自己資本比率

また、自己資本比率は金融機関が融資審査で重視する代表的な安全性の指標です。自己資本が厚い会社ほど、「返済能力が高く、経営が安定している会社」と評価されやすくなります。

業種自己資本比率の目安
全産業44.9%
建設業49.4%
製造業49.3%
情報通信業54.1%
卸売業43.7%
小売業39.4%
不動産業・物品賃貸業38.4%
出典:中小企業庁「中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」より算出

業種によって傾向が異なるため、営業利益率と同様に同業平均との比較が重要です。業界平均を下回る状態が続けば、不況への耐久力が低下し、融資でも不利になりかねません。

自己資本比率の計算方法や改善策はこちらで解説しています。

中小企業が見るべき経営指標3. 流動比率

流動比率は、短期の支払い能力を見る最も一般的な安全性の指標です。1年以内に支払う借入金や買掛金などを、手元の資産で無理なく支払えるかを確認できます。

昔の融資現場では「流動比率だけを見て、良ければ貸していた」と言われるほど、財務バランスの判断で重視されてきました。

流動比率が高い会社は、短期の支払い能力だけでなく、固定資産と自己資本・長期借入のバランスも整っている場合も多くあります。

業種流動比率の目安
全産業190.1%
建設業209.7%
製造業208.5%
情報通信業237.2%
運輸業・郵便業186.2%
卸売業173.1%
小売業172.6%
不動産業・物品賃貸業183.4%
宿泊業・飲食サービス業190.7%
出典:中小企業庁「中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」より算出

在庫や売掛金を多く持つ業種ほど高くなりやすく、現金回収が早い業種では低めでも問題ない場合があります。数値だけで判断せず、業態や過去の推移と比較することが大切です。

流動比率の見方や改善方法はこちらを参考にしてください。

中小企業が見るべき経営指標4. 簡易キャッシュフロー(当期純利益+減価償却費)

簡易キャッシュフローを見れば、本業でどれだけ現金を稼いだかを最も手軽に確かめられます。

計算式は「当期純利益(または営業利益)+減価償却費」です。

簡易キャッシュフローは、年間の借入返済額と比較して判断します。返済額を上回れば返済余力があり、下回れば資金繰り悪化のサインです。

簡易キャッシュフローの見方

簡易キャッシュフローが不足しているときは、本業の利益改善に加え、過大な設備投資の見直しや返済期間の延長なども検討しましょう。

中小企業が見るべき経営指標5. 売上高伸び率

会社が順調に成長しているかを確認するために、売上高伸び率も見ておきましょう。

売上が継続して伸びている会社は、事業が順調に拡大していると判断できます。また、金融機関も単年の増減ではなく、数年にわたって安定して成長しているかを重視します。

一方で、売上だけを追いかけると利益率の低下や資金繰りの悪化につながることもあります。そのため、売上高伸び率は営業利益率や流動比率などとあわせて確認することが大切です。

ここまで読んで、「何を見ればいいかは分かったけれど、計算や比較は大変そう」と感じた方もいるのではないでしょうか。

そんなときに役立つのが、経営分析ツール「SmartKA」です。経営指標の算出から業界平均との比較までを自動化し、自社の現状や課題を短時間で把握できます。

経営指標を経営判断に活かす3ステップ

経営指標を経営判断に活かす3ステップ

経営指標は、計算するだけでは意味がありません。結果を分析し、改善につなげることで初めて経営に役立ちます。

経営指標を日々の経営判断に活かすためには、次の3つのステップで進めましょう。

  • 自社の指標を算出し、業界平均と比較する
  • 課題のある指標に改善アクションを設定する
  • 月次でモニタリングしPDCAを回す

ステップ1. 自社の指標を算出し、業界平均と比較する

まずは、自社の経営指標を算出し、同業他社や業界平均と比較しましょう。

経営指標は、数字だけを見ても良い・悪いは判断できず、同じ業界・業種で比較することで初めて自社の立ち位置が明確になります。

比較するときは、次のポイントを押さえましょう。

  • 業種別の平均値と比較する
  • 前年だけでなく、3年程度の推移も確認する
  • 業界平均との差から、自社の強み・弱みを把握する

業界平均との差を把握できれば、優先して改善すべき課題が見え、次の改善アクションにつなげやすくなります。

ステップ2. 課題のある指標に改善アクションを設定する

業界平均との比較で課題が見つかったら、改善アクションを設定しましょう。

経営指標は結果を示す数字です。数字を改善するには、その原因を特定し、具体的な行動に落とし込むことが重要です。

改善するときは、次のポイントを意識しましょう。

  • 優先順位の高い指標から取り組む
  • 「いつまでに」「どの数値を」「どこまで改善するか」を決める
  • 1つの指標につき1〜2個の改善アクションに絞る

例えば「自己資本比率を来期末までに45%へ改善」のように、期限と数値をセットにします。

問題全てを一度に改善しようとせず、優先順位を決めて1つずつ取り組むことが改善への近道です。

ステップ3. 月次でモニタリングしPDCAを回す

改善アクションを決めたら、経営指標を毎月確認し、効果を検証しましょう。

効果検証では以下を行ってください。

  • 毎月同じタイミングで指標を確認する
  • 前月・前年同月と比較して変化を把握する
  • 改善効果を確認し、必要に応じてアクションを見直す

このように、経営指標は一度確認して終わりではありません。継続的に数値を追い、改善を重ねることで、経営判断の精度を高められます。

一方で、手計算やExcel管理では、転記や集計に時間がかかるうえ、ミスや属人化も起こりがちです。

SmartKAは、経営指標の推移や業界平均との差を継続的に確認できる経営分析ツールです。毎月のモニタリングや改善効果の検証もスムーズに行えるため、PDCAを無理なく回せます。

経営分析ツールの選び方やおすすめはこちらで詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

まとめ|まずは5つの経営指標から、自社の健康診断を

「決算書のどこを見ればいいかわからない」そんな方でも、まず確認する指標を5つに絞れば、自社の経営状態を効率よく把握できます。

中小企業が優先して確認したい経営指標は、次の5つです。

  • 売上高営業利益率
  • 自己資本比率
  • 流動比率
  • 簡易キャッシュフロー
  • 売上高伸び率

すべての経営指標を細かく分析する必要はありません。まずはこの5つを算出し、業界平均や過去の自社データと比較することから始めましょう。

経営指標は、定期的に確認することで、資金繰りや収益性の変化に早く気づき、根拠を持って経営判断できるようになります。

自社の経営指標を手軽に確認したい方は、SmartKAの無料デモをぜひお試しください。経営の異変に早く気づき、手遅れになる前に改善へ取り組めるようになります。

あわせて読みたい